大規模修繕工事を計画する段階で、数社の施工業者から見積書をとる必要があります。
ですが、各施工業者の見積書の内容が判らなければ、ただ混乱してしまうだけです。
ほとんどの見積書が、専門的な材料名や工法名、その工事費の羅列です。また、○○工事一式
という表現もよく使われます。
ただでさえ、建築用語は馴染みが無くて判りづらいのに、見積書はさらに難解なものに思えます。
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大規模修繕工事の進め方
修繕内容の周知と確定
管理組合で検討した内容は、説明会の開催や議事録などで、区分所有者全員
に知らせておきます。つぎに、総会で修繕内容(基本計画)を決議します。
また、コンサルタント会社には、基本計画に基づいて大規模修繕工事の設計図と仕様書を作成してもらいます。
【設計図】・・・大規模修繕工事のための改修図面。工事範囲や位置、寸法、工法などを記載した図面。
【仕様書】・・・使用材料、メーカー、工法、数量、保証期間などを、おもに文章で記載したもの。
これらの、設計図と仕様書が準備できれば、どの施工業者からも同 じ内容で、工事の見積書を取ることができ
ます。また、同 じ内容で、工事が発注できることになります。さらに、過去にどのような修繕工事をしたのか
記録として残しておくこともできます。
なお、コンサルタント会社を間に入れず、直接施工業者に発注することも可能です。
ゼネコンに発注するときなどは、コンサルタント会社を間に入れない場合が多いと思います。
この場合、施工業者(ゼネコン)側に、設計図と仕様書を作成 してもらうことになります。
施工業者の選定
まずは施工業者の業務内容や、有資格者の人数などを事前に知った上で、見積りを依頼します。
修繕積立金の絡みもあり、工事費を安く抑えたいのは当然です。しかし、決して
『安かろう、悪かろう・・・』
の仕事は望んでいないのです。
将来のことを見越した、きちんとした仕事をしてもらうのが、最優先です。屋上防水などは、あらかじめ保証期間を定めて発注します。
きちんとした仕事をしてもらうには、適正価格で発注することが重要だと考えます。
また、せっかく『屋上防水は10年保証する』と定めて発注しても、施工業者が10年以内に倒産
してしまっては、どうにもなりません。
保証書は、ただの紙切れになってしまいます。
先のことは誰も判りません。この判断は非常に難しいのですが、施工業者の財務内容なども、一応、確認しておいた方が良いと考えます。
多少、工事費が高くても信頼できる施工業者に発注した方が、あとあと安心ということができます。
提出された見積書の内容を確認し、施工会社と面接するなどして、工事に臨む姿勢や体制などを確認します。
そして、総会を開き、施工会社、工事費、工事期間などについて決議するのです。
施工業者の選定は、公明正大に行う必要があります。決して管理会社まかせにしてはいけません。
国会が国の最高機関であるのと同様に、マンションにおいては、
総会が最高意思決定機関 なのです。
大規模修繕工事が、素人にはとっつきにくく、敷居の高いものになっている 要因の一つ といえます。
見積書作成者は意図的に、『どちらでも受け取れるような表現』 を使っている・・・そんな気さえしてきます。